飲食店舗の倒産増加

2024/09/30

23年度の企業倒産は8881件
人手不足、物価高による倒産が過去最多

 帝国データバンク発表 2023年度(2023年4月~2024年3月)の全国企業倒産(法的整理かつ負債1000万円以上)は、前年度比30.6%増の8881件、負債総額は前年度比4.1%増の2兆4344億7400万円。

図表:全国における企業倒産件数の推移

・件数は全7業種、全9地域において前年度比で増加となったほか、「人手不足倒産」(313件、前年度比114.4%増)、「後継者難倒産」(586件、同20.3%増)、「物価高(インフレ)倒産」(837件、同80.8%増)などが過去最多更新。

・企業における人材確保や価格転嫁がより大きな経営課題となるなか、企業倒産は引き続き増加傾向にあり、今年に入ってからは1月(700件、前年同月比28.2%)、2月(734件、同27.9%増)、3月(870件、同8.7%増)と推移。
・2024年は2023年(8497件)を17.7%上回れば年間件数1万件となるが、1月~3月の累計(2304件)は前年同期を20.0%上回る。

・飲食店」倒産802件で過去最多、業態別では「居酒屋」「ラーメン店、中華料理店」が過去最多
・2023年度の飲食店経営事業者の倒産は、前年度比56.0%増の802件となり、過去最多。※過去最多は2019年度(784件)。

図表:「飲食店」の倒産件数推移

・業態別(11業態)に見ると、最も多かったのは居酒屋を主体とする「酒場、ビアホール」(207件)
 以下、ラーメン店、中華料理店などの「中華料理店、その他の東洋料理店」(130件)、「西洋料理店」(90件)、「バー、キャバレー、ナイトクラブ」(72件)。

・深夜時間帯での営業店舗が多い「酒場、ビアホール」と「バー、キャバレー、ナイトクラブ」を合わせると279件となり、飲食店全体の34.8%を占める。

・「酒場、ビアホール」と「中華料理店、その他の東洋料理店」の件数は過去最多となり全体を押し上げ
・コロナウイルス感染症が発生した2020年度以降の4年間では11業態中7業態の件数が最多
・都道府県別では、東京都(129件)や大阪府(95件)などで多く、上位5都府県で全体の50.4%を占める。
・コロナ前の2019年度に784件にまで増えた飲食店の倒産は、コロナ禍でのゼロゼロ融資や休業、時短営業に伴う協力金などによって、2022年度は514件にまで抑制。

・一方で、コロナが収束に向かい多くの飲食店が賑わうようになったものの、2022年以降の光熱費や各種食材の価格高騰、さらに人手不足の深刻化(非正社員の人手不足を感じている飲食店は82.0%、2023年10月時点、帝国データバンク調査)、賃上げ対応など新たな経営課題が噴出し、採算が確保できずに事業継続を断念する事業者が急増。

・今後は深夜時間帯の人材確保や賃上げに苦しむ「居酒屋」がさらに増加することや、今月にゼロゼロ融資返済開始の最後の山場を迎えることに伴い、さらなる倒産増加が懸念され、当面は高水準での推移が予想。


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